序言・編集方針
目次
序言
CardWirthは、groupAskの諸氏によって、1998年8月に世へと送り出されました。ユニークなシステムと扱いやすいエディタを持つこのゲームは、多くのユーザーとともに歩み、その世界を広げてきました。十余年の長い歳月のあいだ、そこには多くの試行錯誤の積み重ねがあり、シナリオ作りの技術の向上、表現技法の洗練、そしてさまざまな可能性の開拓がありました。今日のCardWirthは、先人たちの歩みの上にあるわけです。
CardWirthにおける表現や技術はどのように発展を遂げてきたのか。世の中の出来事、コンピュータ環境の変化、他のゲームなどからどのような影響があったのか。CardWirthシナリオにどのような「話題」「流行」があり、相互にどのような影響を及ぼしあったのか。このコンテンツ「CardWirth史年表」は、一ユーザーである私のそうした関心から制作し、2005年6月6日より公開しているものです。
構成と編集方針
本コンテンツは、「CardWirth史年表」の総題の下に、「年表」「CardWirth史用語集」などを含みます。
全体を指す「CardWirth史年表」の下位に、より狭い範囲を指す「年表」があることは煩瑣ではありますが、これはこのコンテンツが年表の編纂から始まった経緯によるものです。いまさら総題を変更するのもかえって混乱を招くため、そのままとしております。
記述は、おもにシナリオの附属文書(ReadMe)や、各サイトの「更新履歴」を参考にしています。また、◇「Internet Archive」に保存されている過去のウェブページ、各種掲示板の過去ログなどを参照しています。考え方の違い・趣味の違いというものはあるものですが、「誰かや何かを謗らないこと」を基本方針として心がけてはおります。
「年表」について
本年表では、CardWirth界隈の主な出来事や「主要なシナリオ」の発表をまとめています。
何を「主要」と見るかの出発点はつまるところ私の主観になってしまいます(「私のプレイしたシナリオ一覧」のような気も)。また、実のところ「調べるのが面倒くさい」といういいかげんな理由で書き込んでいないものもありますし、日付の特定が困難なために記載していないものもあります。
私の趣味に合うか否かを問わず、なるべく次のようなシナリオは落とさないように努力いたします。
- 技術や世界観などにおいて、他のシナリオに大きな影響を与えたと思われるシナリオ
- 複数のサイトで評価・人気の高いシナリオや、話題になったシナリオ
月表示右方に、薄紫で「出来事」を記しました。その頃何があったという記憶を手繰るよすがのためのものですが、選択は私の趣味関心により恣意的なもので、いろいろ偏っています。時日については誤謬があるかもしれませんので調べものには不向きです。「月不明枠」の右方には、その年の世相や統計などを記しました。「この年の『流行語』」は、自由国民社・ユーキャンの◇「新語・流行語大賞」を受賞した言葉であり、かならずしも人口に膾炙した言葉ではないのは言うまでもありません。
「CardWirth史用語集」について
「CardWirth史用語集」は、もともと年表に対する補足として記述をはじめたものです。制作着手当時は「カードワース大辞典」の企画が停止中だったこともあり、「過去の事象」となったものごとを少しでも掬い上げつつ、新しい情報を追加できればと思っていました。
シナリオ作者ごとのさまざまな解釈の相違を取り上げていますが、解釈の統一を迫ろうとするものではありません。作者ごとの世界の相違とユーザーごとのイメージの相違により、百人百様の世界が生じることが、CardWirthの醍醐味と思っております。
筆者の主観が入る以上、「中立」「客観的」であることを保つのは困難ではありますが、ものごとの評価についてはなるべく特定のソース・見解に偏らないよう留意します。
ご留意いただきたいこと
敬称・配慮など
私は個人・団体とも基本的にすべて「さん」を付けて呼ぶ方針ですが、本稿「CardWirthノート」内では、個人名に対しては敬称を「氏」としています。団体名にたいしては敬称を付しておりません。ご了承ください。
このコンテンツの限界
編者の知見と能力の限界
私自身がCardWirthを知ったのは2002年初頭ですので、当然それ以前のことは直接存じません。また、プレイヤーとなったあと現在に至るまでも、CardWirthコミュニティの隅々まで詳しいわけではありません。正直、このようなコンテンツをつくる上では私より適任の方もいらっしゃるように思いますが、とりあえず思い立った者がやってみようかと、才をわきまえずに公開する次第です。
当然、私の能力には限りがあります。今ある叙述は、決して「完成形」ではありません。折々加筆を行っていますが、その歩みは遅々たるものです。むしろ、このコンテンツの「完全版」は存在し得ないと言えるでしょう。記されるべきものが記されていないことが多いことは自覚するところです。「プレイしたシナリオのリスト」や「シナリオ感想」、あるいは「シナリオに登場した設定リスト」を中途半端な形でアップしたものと、さして相違ないのが実情です。
昨今はWikipediaや、CW-portのようにWikiを用いた参加者による情報集約コミュニティもあります。「コミュニティの歴史」について、CWの「一部」しか見ていない私があれこれと記すよりは、wikiを用いて多くの執筆者の編纂に委ねたほうが多くの実りを得られるようにも思いますが、「限界」のある執筆者の「主観」の存在を自明とした、比較的「静的」な本サイトのような編集方法も意味があるのではないかと愚考します。私としては、この「年表」の叙述を相対化し、異なる見地からCardWirth史を見ることのできるサイトの出現に俟つところ大です。
叙述範囲の限界
また、本コンテンツは公式ギルドへの投稿を志向したコミュニティ(いわゆる「オモテ」)での出来事を主要な対象としています。あえて「オモテ」を向かないコミュニティ(匿名掲示板、動画サイト等)があり、場所によっては「オモテ」より活気があったり開放的であったりすることは認識しておりますが、ここでは特には扱っておりません。
これらの場で創作的な活動をされる方々やそのシナリオに対して、私は「オモテ」と同様基本的には好意を持って見ておりますし、こうしたコミュニティも含めた「CardWirthコミュニティ全体」の歴史が叙述されることは必要であると考えています。しかし、さしあたりコミュニティの「住み分け」がなされている現況においては、ネット上のコンテンツとして扱うことは彼我のコミュニティに対するリスクが大きいと考えております。
「記録者」としては失格ですが、私は現時点で、「不文律」をあえて踏み破ろうとする蛮勇も狡知も、十分に持ち合わせていないことをここに記しておきます。
引用・複製について
「CardWirth史年表」の引用・複製はご自由に行ってください。ただし、記述の正確性については各自で調査・確認の上ご判断ください。また、記事を予告無く訂正することがあります。ご注意ください。
事実関係に対する訂正などがありましたらお気軽にお寄せください。
謝辞
間違いを訂正してくださった方々、質問に答えてくださった方々など、ご協力を賜った方々にお礼申し上げます(五十音順、よみ一部推定)。