NPC主導は、NPCの行動や心理描写が物語の中心にある様子、またそのようなシナリオ。主人公やその周辺人物の「キャラ」の個性によって物語が展開するキャラクター小説や一般的なコンピュータRPGなどの手法を取り入れた作劇方法と言える。
傾向と対策
元来ミッションは依頼人・敵といったNPCとの接触・交渉によって進むものであって、NPCが話の流れを導くこと自体に過度に神経質になる必要はない。しかしCWにおいては、ストーリー上・ゲーム上でPCが何のために存在するのかわからなくなるような「過度のNPC主導シナリオ」はあまり好まれない傾向にあると言わる。たとえば以下のような状況である。
- NPCたちの間だけで物語が進行してしまい、ぶっちゃけPC不在でも成り立ってしまう。
- 戦闘時に強力な敵NPCと同行NPCの技の見せ合いになり、PCが「観戦者」「弾除け」にされてしまう。
- PCが、NPCの素晴らしさを賛美し、引き立てるだけの役になってしまう。
- NPCへの制作者の偏愛が気になって、プレイヤーが感情移入できない(いわゆる「メアリー・スー」)。
CardWirthでは、一般的なコンピュータRPGとは異なり、PCをプレイヤー自らが設定できる。このためPCを「主人公」と見なすプレイヤーや、深い愛着を抱くプレイヤーもいる。あるシナリオ制作者にとってシナリオは「わたしの物語」であり、PCはそこを訪れるゲストかもしれないが、あるプレイヤーにとってはPCこそが「わたしの物語」の主人公であり、NPCは「ゲスト」なのである。
「ストーリーをNPCが主導すること」と「魅力的なNPCを描くこと」は異なる概念であるし、NPC主導を回避するためには「NPCがとにかくPCをヨイショすればいい」というわけでもない。また、あるシナリオの中心がどこにあるかということと「シナリオの面白さ」とはまた別であり、「NPC主導」と見なされることのあるシナリオでも、ひろく好意的な評価を得て人気を集めているもの、評価が分かれるものの強固なファンを獲得する作品も存在している。