ウラ」は、CardWirthにおいて、匿名式掲示板群を基盤に持つコミュニティ群を指す。公式ギルドや個人サイト・ブログを中心とする「オモテ」との対比表現である。

2chに代表される匿名掲示板群では、複数の掲示板でそれぞれ独自の気風を持ったコミュニティが形成されている。匿名だからこそ言える本音や、誹謗中傷、演説、批評、愚痴、ネタ会話、しばしば実ハンドルを背負っては言えないような真面目な議論や批判が行われている。また、創作を行うコミュニティも存在する。

「オモテ」では扱うのが難しいテーマが扱われることもあるが、いわゆる「アンダーグラウンド」なものとは限らず、実験的な試み、内輪的な作品の創作が盛んに行われている。「会員制クラブ」であると考えると近いかもしれない。掲示板の気風にもよるが、必ずしも「閉鎖的」とも限らない。掲示板外部に配布や情報のまとめを目的としたサイトを持つコミュニティもあり、一部は「一般化」(あるいは準「オモテ」化)しつつあるとも言える。実際、一般公開されて「オモテ」に還元された作品もある。

現況では、「オモテ」と「ウラ」とは不干渉という不文律が強くあり、「オモテ」は「ウラ」に対して、あるいは「ウラ」のコミュニティは別コミュニティに対して、あたかも存在しないように振る舞うのが慣行となっている。それぞれのコミュニティにはそれぞれ培われた気風があり、むやみな人口の流入は双方に混乱をもたらすと考えられているためである。

かつて2chは、「便所の落書き」と揶揄されるほど、公然と口に出すことの憚られる文字通りの「ウラ」コミュニティとして扱われることが強かった。しかし、実社会にも波及する流行の震源地となり、書籍やドラマの材料として消費されるなど、よきにつけあしきにつけネット時代のインフラとして機能するようになっている。こうした「オモテ」対「ウラ=2ch」という二極対立だけではなく、mixi、ニコニコ動画、pixiv、twitterなど創作コミュニティの多極化により、構造は流動化するものと思われる。とはいえ、「ウラ」の話題を「オモテ」に持ち出すことなどは依然タブー視されており、取り扱いには配慮が要求される。