シナリオの容量削減は、初期のCardWirthにおいて、大きな技術的テーマの一つであった。
苦闘の歴史
CardWirth初期のコンピュータ環境
CardWirthが発表された1998年当時、コンピュータやインターネットは急速に家庭へと普及しつつあった。しかしその環境は、現在から見れば貧弱と言えるものであった。
まず、インターネットは今日のような常時接続環境になく、回線も細かった。大容量のデータのやり取りは苦労の伴うものであった。電話料金節約のため、夜間の割引時間帯「テレホタイム」がインターネットの時間帯となった。
ユーザーが普段用いる外部記憶媒体も、フロッピーディスクが主流であった。フロッピーディスクの容量は1MBであった。
かくて、初期のCardWirthシナリオは「容量削減」を大きな課題としていたのである。
大削減時代
シナリオフォルダにおいて大きな割合を占めるのは画像ファイルである。背景画像の画質を落とすなどして1枚10〜20kb程度に容量を小さくするような、涙ぐましい努力が展開されていた。「ハーフサイズ」などとも呼ばれる316×210ピクセルの背景画像素材は、この時期の規格のひとつである。また、カード画像についてもフルカラーBMPなどもってのほかであり、256色でもかなり「贅沢」であった。