拾穂文庫第一分室CardWirth史年表用語集【お】

おさんどん

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  • 最終改訂:2011/11/08

おさんどんは、食事のしたくや後片付けなどの台所仕事のこと、また、台所仕事をする下女(女中さん)のこと。「おさん」とも言う。

人を指す用法では、家事労働者という意味で、メイドさんといくらか同じである。たぶん。

CardWirthとおさんどん

赤塚晋也氏(groupAsk)『機械仕掛けの番犬』に、この言葉が登場する。

そしたら何? 娘の私が、こんな街外れに住んで、毎日毎日おさんどん? このまま年取って、おばあちゃん になるなんて絶対やだからね!!

家族を顧みず、妻にも逃げられたファラン・ディトニクス。女は外の世界で働く必要はないとするファランに対し、娘のルーシーが応えた言葉である。ここでは「台所仕事」の意味で用いられている。

来歴

語源には諸説あり、「かまど」あるいは「飯を炊く」という意味の「爨(さん)」(ハンゴウスイサン(飯盒炊爨)のサン)から来ているとする説、御殿の奥を指す「御三の間」から来ているとする説、下女を呼ぶありふれた名として「お三」(下男には「三助」などと付けられた)があったからとする説などがある。

落語などを聞くと、おかみさんが飯炊きの女中さんに「これ、おさん!」などと呼びかけていたり、「炊事をする」の意味で「おさんどんをする」といった表現がされたりする。

人を指す用法は、「貧しい小作の娘が女中奉公に出て大地主の家の薄暗い台所で女中頭にきついことを言われながら泣きながら働いている」なんていう、封建的でおしん大根飯的な「昭和戦前の香り」をイメージとして抱いてしまう。「女中奉公」が廃れた現代では、死語という印象が強い。

毎日三度の飯をつくることから「三度三度のおさんどん」という地口もあるように、「炊事」の意味では今も使われることがあるようだ。

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