西方世界(せいほうせかい)は、CardWirthの冒険の舞台となる世界の名。CardWirthにおける初出はgroupAsk齋藤氏)『交易都市リューン』(1998年8月18日)であるが、TRPG等では「西洋(Western, Occident)」に相当するものとしてよく使われる名称である。

その世界の詳細、たとえば政治体制や社会、地理、技術水準などについて、groupAskからはほとんど明示されていないが、慣習的に「西欧の中世(ときに近世)」が連想されている。ユーザーからはAsk設定が参照されることが多いにせよ、従わなければならない「公式設定」と言われるものがないことによって、個々のシナリオ作者各自の持つイメージに従って、思い思いに描写が行われている。いわば「設定創作の自由」が個々のシナリオ作者に認められていると言える。

このため、主要な舞台である都市リューンがシナリオによって港町だったり内陸の町だったり、王国だったり自治都市だったりと、シナリオ間には当然のごとく多くの齟齬が生じる。これらを折り合わせるのもプレイヤーの「脳内補完」の領分ということになっている。

必然的に矛盾する地理情報やできごとををあえて接合するのもひとつの楽しみ方であり、既存のシナリオを参照に共通設定を模索する企画や、CardWirth世界の地図を制作する企画もある。

設定と解釈

groupAskによる設定

『交易都市リューン』では「聖北教会」に以下のような説明が付されている。

西方一帯に多くの信者を有する最大の宗教団体、聖北教会のリューン支部。平和を目的とした護身用の技能として、僧侶系の呪文技能を販売する。

『奇塊』には以下のセリフがある。

「リューンは西方諸国中、他に例を見ない下水施設の完備された街だ」