AgeAlliance(エイジ・アライアンス)は、2000年初夏に提唱された「理念」、あるいは運動。略称"AA"

シナリオ制作者を中心とする動きで、シナリオの相互「批評」を活性化にすることによってCardWirthの向上発展を目指すとしたが、理念の方向性や運動の手法、「批評」のあり方をめぐってコミュニティー上に紛議を呼んだ。

AAは「理念」であって「運動」ではなく、このため「責任者」は置かれないとされたが、もにもに(さくらもり)氏が実質的な主唱者として、CWUNでの応答を行った。

「AA騒動」

発足と理念

2000年6月4日(正確には3日23時56分)、CWUNへの投稿をおこなった「AGE ALLIANCE 渉外担当」もにもに氏によって発足が宣言される。

氏によると、草創期の批評論争の余波もあり、当時は“批評がタブー視される風潮”があったという。これに対して、おもにシナリオ制作者の立場からこれに抗する動きとして提唱されたものであるという。向上心を持つシナリオ作者が切磋琢磨しあえるようにすることが本来意図したものであったようだ。

なお、この「批評」という言葉について、もにもに氏は

「良い部分」「悪い部分」を共に指摘した感想を、特に「批評」と呼ぶ

という解釈を持っていた。

自作品に対する正しい「批評」を冷静に受け入れ、あるいは他人の作品に対して責任のある「批評」を行う、ということがAAの理念であり、賛同する者はウェブサイトやシナリオにロゴマークを表示することで意思表明することとなっていた。

AgeAllianceは、当初以下のような「規約」を掲げた。

1、会員以外からの「批評」は禁ずる。
2、18歳未満の入会は禁ずる

第1条は、“無責任な(あるいは悪意ある)批評”からシナリオ作者を守るため、第2条の年齢制限("Age"Allianceの呼称のもと)は批評の責任能力を求めるために必要だと説明された。

批判

しかし、その方向性や運動手法をめぐってはCWUNで厳しく激しい議論が行われている。特に「規約」第1条に関して、会員以外の批評(感想)を認めない閉鎖的なコミュニティをつくるのか、あるいは、そもそも自由であるべき批評(感想)という表現行為を制約するつもりか、という批判が行われた。また、第2条の年齢制限についても、それらがシナリオ制作・批評能力と関連があるのかという疑問が投げかけられた。

「規約」問題には、暴力的な「批評」を寄せられることへのおそれ、あるいは相手のシナリオへ寄せた意見に過剰な反応が帰ってくることを恐れる意識がうかがえる。裾野の大きく広がった当時のCardWirthコミュニティが抱えた問題の一端を示すとともに、西鉄バスジャック事件(2000年5月)など「キレる17歳(未成年)」の事件が大きく報道された当時の世相も反映されている。

「騒動」終息とその後

これらの批判を受けたのち、(2000年6月17日?)公式サイトの解説は変更された。AAへの参加の意思表示(ロゴ表示)によって

「あなたは作品のレベル向上のために厳しい意見もあえて受けとめる覚悟があると、周囲に宣言することができます」

とされ、「参加資格」は

1. 何らかの形でCWに関わる18歳以上の創作者であること。
2. 自分の創作物に対し、責任ある態度を持てる人間であること。

となり、「批評」の内部限定は撤廃されたが、年齢制限は残された。

もとよりAAは「運動体」とは称していなかったが、「努力表明」のツールという形になったAAは、それ以後運動主体として目立った活動はなかった。とはいえ、当初の賛同者に加え、「批評を受ける覚悟」「向上への意志」を示す意味で新たにロゴマークを掲げるシナリオ制作者もいた。

議論をめぐり、コミュニティは疲弊した。さくらもり氏はじめ、多くの作者が去る契機となったとされる。

さくらもり氏の撤退後、公式サイトはタチモリ氏が管理していたが、2002年8月2日に正式に閉鎖された。管理を引き受けてその幕引きも行ったタチモリ氏自身は、AAの掲げた年齢制限を当初満たしていなかった。年齢に「責任」の指標を求めたAAにとっては、この上ない皮肉となってしまった。

外部リンク

参考