教会の項目では、現実のキリスト教の教会組織をメインに、CardWirthの世界(西方世界)で主流とされている聖北教会などの宗教組織とを比較する。
現実のキリスト教との比較
groupAskシナリオに現れた聖北教会の記述を現実のキリスト教の諸教派と比較すると以下の通り(表中の外部リンクはWikipedia各項目にリンクしている)。CardWirthの世界が中世西欧をベースにした「中世ファンタジー世界」とされていることから、通常はカトリックが参照されている。
教派ごとの教義解釈や組織形態の違いによって差異があるほか、同じ概念をさす場合でも教派ごとに日本語翻訳の差異がある。
聖職者の位階
groupAskシナリオに登場する「聖北教会」には、司教・司祭が登場し、最上位の指導者として「教皇」が存在する。なお、女性聖職者や修道会はストーリー上登場していない。
カトリック
現代のカトリックの「聖職位階」は司教・司祭・助祭の3つ。
- ◇司教:司教区(教区)を監督し、助祭・司祭・司教の叙階を行う。ひとつの司教教区のなかに、教区の責任者である◇教区長のほか補佐司教がおかれることがある。
- ◇司祭:一般に「神父」と呼ばれる。ミサ(聖体祭儀)をはじめとする「秘跡」を行う。助祭が司教から「按手礼」を受けることで叙階される。
- ◇教区司祭:教区に籍を置き、司教の管轄下で活動する。司祭館や教会(小教区)で暮らす。
- 修道司祭:修道会に籍を置き、修道院で共同生活をする。
- ◇助祭:
- ◇終身助祭:
かつては以下のような「下級聖職者」の位階があったが形骸化が進み、第二バチカン公会議(1962〜65年)で廃止された。現在は「教会奉仕者」という職務がこれらの仕事をつとめている。
- 副助祭:
- ◇祓魔師(ふつまし):エクソシスト。実際には、洗礼時に行われる悪霊の追放の儀式を執り行う職。
- 読師:
- 守門:
東方教会(正教会)
現代の正教会の「◇神品」(しんぴん。聖職者)の職分は、主教・司教・輔祭の3つ。
- ◇主教:教会を指導し、信徒の精神生活に責任を負う。中世以降、修道司祭の中から選出されるようになり、主教3人の手により「叙聖」される。主教の上位の者に、総主教・府主教・大主教の位が設定される(ロシア正教会などでは「総主教―府主教―大主教―主教」、ギリシャ正教会などでは「総主教―大主教―府主教―主教」の順)。
- ◇司祭:主教から「叙聖」される。
- ◇輔祭:
このほか、「神品」(しんぴん。聖職者)に含まれない教役(きょうえき)者がいる。
- 副輔祭:
- 誦経者(しょうけいしゃ):「奉神礼」において、司祷者の指示に従って祈祷書の指定箇所を音読歌唱する職。正式には主教による祝福(「誦経者祝福式」)を受けた職で専用の祭服も持つ。実際には一般の信徒がこの役を担うことが大半で「誦経奉仕者」と呼ぶ。
- 堂役(どうえき):「奉神礼」において、司祷者の指示に従って火や油や聖餅などを扱い、「神品」(聖職者)の動作を補佐する役。男性の信徒が勤める。
英国教会(聖公会)
現代の聖公会の位階は、主教・司祭・執事の3つ。
聖職者の妻帯
「聖北教会」では、聖職者(司教・司祭)にも妻帯が許可されている。子供がいる場合もある(『墓守』、『妖姫』)。
- カトリックでは司祭は終生独身であることが求められる。ただし、まれに転宗者の司祭に例外がある。
- 英国教会(聖公会)では司祭は妻帯が認められる。
- 東方教会(正教会)では司祭の妻帯は認められる。ただし、輔祭に叙聖(叙階)される時にすでに妻帯しているものに限られ、司祭の職にありながら新たに結婚することは認められない。主教は原則として修道士が就任するため妻帯者が主教となることは原則的には無い(古代には主教の妻帯も認められており、中世以降にも例がもある)
洗礼
「聖北教会」には、生まれて間もない子供に洗礼を施す習慣があるようだ(『妖姫』)。
- カトリック、プロテスタントの一部(英国教会、ルーテル教会など)では幼児洗礼を行っている。
- プロテスタントのうち、バプテスト教会では幼児洗礼を認めず、成人洗礼(「浸礼」「バプテスマ」)のみを行う。
- プロテスタントの中には、救世軍など行わない教派もある。
- 東方教会(正教会)では幼児洗礼(「聖洗」)が通例。