数値隠蔽(すうちいんぺい)は、CardWirthのゲーム設計上における重要な特徴の一つ。
概説
基本的にCardWirthでは、一般的なコンピュータRPGと異なり、たとえば、
- スライムに16のダメージを与えた! (攻撃時のダメージ処理)
- アレックスのすばやさが1あがった! (キャラクターのステータス)
- アイテム「村雨の剣」 攻撃力185 (アイテムのステータス)
といった「具体的な数値」で、プレイヤーに情報が示されることはない。もとより、内部では数値による処理がなされているが、プレイヤーとして触れることができるのは「レベル」と、「目安」としての体力ゲージ程度である。
プレイヤーが「数値」をほとんど気にしなくても済むのは、テーブルトークRPGとも異なる特徴である。技能の適性や効果など必要な情報は文章で示されるのが通例である。このことにより、プレイヤーは「数字」に惑わされずに「イメージ」の世界に没入できる。
たとえば、アイテムとして現在装備している「友の形見の短剣」と、新たに入手した「魔物殺しの弓」があるとする。「友の形見の短剣」(攻撃力+15)と「魔物殺しの弓」(攻撃力+20)のように数値が示された場合、キャラクターの装備に関するプレイヤーの判断に、「キャラクターのイメージ」以上の影響を及ぼすかもしれない。もっとも、CardWirthは武器等のアイテムよりもスキルという形で戦闘スタイルが表現される傾向にあるのであるが、「数値隠蔽」によって「数値」が「イメージ」を損なう事態を回避できる(ただし、「適性」で左右される問題は生じる)。
連れ込みキャラクター(キャストカード)およびアイテム(アイテムカード)・スキル(スキルカード)等の「説明」はシナリオ制作者側の裁量によっている。このため、具体的な数値を挙げることで、プレイヤーの選択の参考に供する作者もいる。