CardWirth ver.1.20 宿画面
ver.1.28の通常宿の画面
前バージョンと比較して視覚的なデザインも変更された。
※画像内の素材の著作権者:groupAsk

CardWirth ver.1.28は、現在もっぱら用いられているCardWirthエンジンのバージョンである。2003年8月カードワース愛護協会によって1.20エンジンからのバージョンアップパッチとして公開され、2004年4月に正規版が公開された。

1.20と1.28の間では大きな仕様変更が行われており、完全上位互換とはなっていない。1.20エンジンで動作するように作られたシナリオの中には、視覚表現などに関して不具合を来たすものもある。

なお、1.28公開後も数回幾度か大きな修正が行われているため、ver.1.28内にもこまかなバージョン違いがあり、古い1.28エンジンでは最新のシナリオの動作に支障が生じることがある。最新版は2006年2月1日に正規版として公開されたver.1.28(11)(通称「MP3対応版」)である。最新版のCardWirthエンジンは、公式ファンサイトからダウンロードできる(ダウンロードページでは「Version 1.28(10)」と表示されたままである)。

エンジンの概要

本エンジンは、ver.1.20の公開以来4年ぶりに更新されたエンジンであり、groupAskのプログラムにカードワース愛護協会が手が加えたものである。附属文書によれば、プログラムの著作権はカードワース愛護協会に属す。

groupAskは1.20の次期エンジン開発を行っていたが、何らかの理由でソースコード(人間が読み書きしやすい形で出力されたもの)を紛失してしまったと言われる。1.28エンジンの「開発」は、愛護協会によっていわば暗号解読のような形で行われたといい、、任意の改善要望に応えることは困難が伴うと言明されている。

システムの改編を伴い、完全な上位互換が実現されなかったことから、当初は混乱も見られた。公式ギルドでは1.28から導入された新技術を用いたシナリオに「ver1.28仕様」を表示することを必須としている。

1.28の発表後も何回かのバージョンアップが行われ、新機能が導入されているが、バージョン番号は1.28のまま、付加されたカッコ内の数字が変更されている。重大な変更としては「エフェクトブースターの導入」(1.28(08))や「MP3への対応」(1.28(11))があり、これらの機能を用いたシナリオは、1.28の初期バージョンでは動作に支障が生じる。

前バージョンからの変更点

本稿では大きな変更点についてのみ触れる。詳細は、愛護協会がまとめている旧バージョンからの変更点を参照されたい。

カード画像の変更

カード画像のデザインが大きく変わった。「カード」をイメージした従来の画像にあった「縁」がなくなり、また地紋にマーブル模様が付けられた。このため、以前の地紋をデザインに取り込んだカード素材を用いたカードは、はデザイン的に損なわれることになった。

チーム名の実装

パーティの名称である「チーム名」が実装され、シナリオ制作時にはメッセージコンテンツ・セリフコンテンツにおいて「#T」で表示させることができるようになった。

所持金がパーティ管理に変更

従来は個人に属していた「所持金」が宿・パーティの管理となった。

このため、資金の移動が容易となり、銀行シナリオの存在が低下した。

新規宿を制作すると一律4000spの資金が宿の金庫に与えられる。従来可能であった「裕福な老人PC」の連れ込みによる資金稼ぎという「裏技」が使えなくなった。

PCの不在処理・カード表示順の変更

従来、FLIPを使いこなす必要があった「PCの不在」の表現が、システムの上で可能になった。しかし同時にPCのカードが常に上に表示されるよう仕様が変更されたため、FLIPはむしろ支障をきたすシステムとなってしまった。

PCの「引退」制度廃止

従来存在したPCの「引退」がなくなった。1.28において引退に相当するものは、「成長」による老衰死のみとなった。

1.20から1.28への宿データの引き継ぎ当時には、引退させた冒険者が復活するという珍事が生じた。

EPの導入

従来「子作り」は「引退」PCによってのみ可能であったが、「引退」制度がなくなったことにより現役で次世代を生み育てることが可能になった。EP制を導入することで、従来は可能であった無限出産を不可能とした。