WildCard(ワイルドカード)は、2001年3月29日、スクウェアから発売された、ワンダースワンカラー用「ロールプレイングカードゲーム」。定価4300円。

Sa・Gaシリーズで知られる河津秋敏氏がゲームデザインを手がけ、音楽・伊藤賢治氏、メインヴィジュアル・吉田明彦氏という豪華なスタッフで開発された。TRPG的な要素が強く、いくつかの視点でそれぞれのミッションをクリアしながら大きな物語を進めていく。

一般的なコンピュータRPGとは一線を画すシステムの「わかりにくさ」や、ゲームバランスなどの面から否定的な評価を下す声もあるが、ユニークなシステムや想像力を刺激する世界像、すぐれた映像や音楽から本作を名作と推す根強いファンも得ており、「取っ付きが悪い」が「ハマると抜け出せない」との評がある[註1]。「フィールドマップがない」「複数の視点の交錯」「ミッションを進めると新たな物語が開かれる」などの本作の特徴は、同じ河津氏が手がけた『アンリミテッド・サガ』(2002年12月、プレイステーション2用)につながったともいわれる(こちらも「わかりにくさ」と「魅力」の間で毀誉褒貶の振幅の激しい作品である)。

CardWirthとWildCard

※ 注意:筆者(竹庵)はWildcardをプレイしたことはありません。

「「WildCard」の世界は全てがカードで表されています」[註2]と惹句にも用いられているように、WildCardにはフィールドマップが存在せず、人物・アイテム・技能・行動がすべてカードで表示されるのが特徴である。しかしそのシステムや操作性、外見が、CardWirth1998年8月)と似ていると評されることがある。もっとも、実際にプレイするとゲームの感触はずいぶん違うとの声もある。

画面は、パーティの表示される下段と各種行動を示すカードが配置される上段の2段となっており、CardWirthのように人物・行動カードを配置するスペースが広くはない。PCはあらかじめ用意された9人の中から選択することになり、CardWirthのように自分で好みのPCを設定することはできない。また個々のミッションのクリア状況によって「シナリオカード」が入手でき、これによって物語を進めることができる。そのため、ゲームの進行によってPCたちの身の上に深くかかわる物語が展開する。

また、ユーザーによるシナリオの制作・追加ができない。このためおそらく「地雷シナリオ」は存在しないが、プレイヤーが物語を制作する楽しみを得ることはできない。

参考

  • [註1] ぼくぼ氏《驚愕白鳥》内「WildCard」レビューページ
  • [註2] スクウェアエニックスによる紹介ページ