拾穂文庫第一分室CardWirth史年表用語集【し】

城砦都市キーレ

城砦都市キーレ
作者 ブイヨンスウプ氏
発表 2002/01/12 完成版(1.00)公開 [RM]
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Vector シナリオ 城砦都市キーレ

城砦都市キーレ』(じょうさいとしキーレ)は、ブイヨンスウプ氏が制作したイベント多発型町シナリオである。

概説

初期の名称は『城塞都市キーレ』。リューンスキル的な16色画像のスキルを販売する店シナリオとしての性格とともに、辺境の城砦都市で「依頼」を受けて蛮族との戦いを展開する「シナリオ内シナリオ」を抱える要素を持つ。

駆け出し冒険者でも対処可能な討伐から、熟達の冒険者で強敵に挑む最終依頼(レベル9以上推奨)まで長期にわたって楽しめる作品である。

なお、全ストーリーを終了後は、普通の店シナリオとして利用が可能であると共に、連戦を楽しむ「連続戦闘モード」をプレイできる。その描写力から、フォロワーの多い作品である。

内容

ストーリー

「富と名声を求めて放浪する、ロマンあふれる自由の戦士じゃなかったのか!? 俺たちは!」 平和なリューンでの雑用仕事にうんざりした冒険者たちに、宿の亭主は「北の蛮族と国境を接する城砦都市」キーレに出かけることを勧める。そこは、「蛮族討伐で名を挙げようと各地から猛者が集まる」、「腕試しにはもってこいの街」。

冒険者たちは、「蛮族討伐」の依頼を受けながら、さまざまな人や戦いと出会い、やがて「英雄」として名を挙げていくことになる。

設定と解釈

人物など

(いつもの宿の亭主)

本作では「親父」「亭主」などの呼称はとくにない。群雄割拠の時代を駆け抜けた、熟達の元冒険者である。

酒場の店主

流れ者たちが根城とする、キーレの酒場兼宿の亭主。正規軍からは一定の信頼を得ており、討伐の依頼が貼り出される。無愛想だが、情けのある男。

無口な隻腕の男

酒場の客の一人。腕に自信のある男であったが、「切り風渓谷」で仲間と腕を失った。酒におぼれている。シナリオ内では触れられないが、内部的には(スクリプト内では)「ジェイス」という名が付けられている。

褐色の肌の女

酒場の客の一人。南国出身のようだ。過去には踊り子をやっていたこともあるらしい。内部では「クルファ」の名がある。

甲冑を着たどこかの騎士

酒場の客の一人。武者修行中の身で、名を挙げることを願っている。内部での名は「ギラン」。

ずる賢そうな小男

酒場の客の一人。なんらかの理由で流れ着いた、ずるがしこそうな男。内部では「ケミュ」。

剣技師範(ジュブセタ)

「兵法訓練所」で、「我々の文明圏」で体得できる剣術を教授する。キーレ正規軍の将軍(中将)。

蛮術師範(ルカ)

「兵法訓練所」で「蛮術」(蛮族の武術)を教授する。キーレ正規軍の将軍(少将)。

呪術師(ミリア)

「呪術師の庵」のあるじ。キーレにとっては重要な人物である。

暗殺者

「暗殺者の塔」で、暗殺者スキルを扱っている。暗殺者ギルドの幹部らしい。

尼僧

「僧院」にいる尼僧。キーレには場違いにも思われる。

イス・ビュリュー

蛮族の英雄。酒場の騎士は「竜騎兵の奸雄」と表現する。

蛮族族長(大将)

蛮族の指導者。部族単位でバラバラの集団を実力でまとめ上げた、ひとかどの人物である。

地理

リューン

「リューン自警団」の詰所で手形を取るという描写があるからには、本作の起点となる宿は、リューンかその近郊、統治下の地域にあることになろう。

キーレ

宿を出ること10日あまりで、森がちであった街道沿いの光景は荒涼たるものに代わる。さらに徒歩数日で、不毛な土地の中にこの孤高の城塞都市はある、と描写されている。リューンから北へおおむね徒歩で15〜20日ほどの旅程であるようだ。

「北の蛮族を締め出すための城塞都市」であり「ほうぼうの都市や城から兵を割いて、ここを守っている」。「文明」世界の側の防衛拠点であり、諸国が送り込んでいるようだ。「キーレの正規軍」が駐屯している。「キーレ1000の兵と600の民」という表現がされている。

歴史

群雄割拠の時代

導入時に亭主が語る、亭主若かりし日の世界。「ワシが冒険者をやっていた頃は、世界は今よりも混乱していた。群雄割拠の時代だったからな。混乱に乗じて、妖魔が大挙して街に攻め込んでくることも珍しいことではなかったよ」。この時代には、歴史に名を残す冒険者上がりの英雄も生まれたらしい。亭主の年齢を50〜60歳くらいと仮定するならば、20〜40年くらい前であろうか。

キーレの奪還

キーレは一時期蛮族の手に落ちていたことがあり、20〜30年前に「文明」の側が奪回したとある。

その他

リューン自警団

キーレに出かける際に、自警団の詰所で身元証明の手形を取っている。

蛮族

キーレを攻撃する敵。さらに北方の部族を平定するなど、その勢力範囲は広いらしい。大蛇を使い、龍を飼いならす。頭目の族長は軍の先頭に立つ。ふだんは部族単位のバラバラな集団。

蛮族の奴隷傭兵部隊

「蛮族」のさらに北方の部族で、「蛮族」に平定されてその軍に使われている。人間・亜人・その混血などからなる。

本作に登場する竜騎兵や翼龍は、「炎を吐いて人語を喋る、幻獣の竜」とは異なるとされる。

竜騎兵

蛮族の精鋭部隊。「竜」(この作品では「馬くらいの大きさのトカゲの化け物」)を乗りこなす。イス・ビュリューが頭領である。

翼龍

蛮族が使役する「でかい翼を生やしたトカゲの化け物」。

影響

果てしない戦闘の続く不毛の辺境というイメージから、CardWirth界隈では「キーレ送り」という表現が流行した。それは一種の流刑であったり、生還の可能性の少ない場所への送り出しだったりし、場合によっては相手に対する罵倒を意味することがある。ただし、シナリオ本編での描写を見る限りは、リューンに出かけること自体にはそれほど大きな困難はない。

本作で入手できるクーポン(称号)は、しばしばクロスオーバーされる。

余録

タイトルは、スティーブ・ジャクソン作のゲームブック『ソーサリー』シリーズの作品の一つ、「城砦都市カーレ」(東京創元社版の訳題。原題は Kharé - Cityport of Traps )に由来するものと思われる。「カーレ」は無法者の街とされるが、不毛の荒野の城塞ではなく港町であり、蛮族との戦争を描いた作品でもない。

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