日本文化(にほんぶんか)、と言っても人によって想像するものはまちまちであり、日本列島の上で暮らす人々が生み出した文化という意味では「埴輪」も「村八分」も「萌えアニメ」も「蜂の子の佃煮」もひとしく「日本文化」であるはずなのであるが、とりあえず本項では、近代における国民統合の過程で日本のアイデンティティとなるものと位置づけられ、海外に向けてアピールされるべきものとされた、いわゆる「伝統的な日本文化」を指すこととする。つまり「武士道」とか「もののあはれ」とか「わびさび」とかといったキーワードに結び付けられるようなものであり、とりあえず「まんが日本昔ばなし」とか「時代劇」とか「伊右衛門のCM」とかでイメージされるところのものである。
なお、「中世ファンタジーなのに日本が出てくる」という一見おかしな状況は、「地元」日本で生まれたものというわけではない。1981年のコンピューターRPG『ウィザードリィ』において(いくらか誤解された)「ニンジャ」が登場し、最強の武器は日本刀「ムラマサ」であるように、欧米におけるいわゆる「おたく」(ギーク)と日本文化の相性がよいことに一つの源流がある。東洋人が「擬似西洋中世ファンタジー」を求めるように、東洋と西洋が互いに「ファンタジー」を見出して輻輳した結果がたぶんこれである。
CardWirthと日本文化
日本文化に属するものごとが、CardWirthシナリオ中に登場することがある。たとえば、武士・忍者などの人物、刀などのアイテム、剣術などの技能、あるいは伝承や伝説である。
groupAskシナリオでは、齋藤氏『旧き沼の大蛇』(1999年2月)にヤマタノオロチ伝説が組み込まれている(「ずっと東の方の国の伝承」として「退治したヒドラの腹だか、尻尾だかを切り裂いてみたら、素晴らしい剣が出てきたって話」が登場する)。
「日本」に相当する領域は、「日の本」「和」「倭」「ジパング」など現実の日本で異称で呼ばれたり、「東方」「東方の島国」などとして登場したりする。伝承が伝えられていたり、移民などとして現れたりすることもあり、現実のヨーロッパと日本の地理的な距離よりもずっと近い場所にあるような印象を受ける。
日本文化に関するバリアントエンジンには大江戸バリアントがある。