地雷(じらい)、地雷シナリオは、基本的な部分でプレイヤーが楽しめないシナリオに対する俗称(蔑称)。「地雷」には、単なる「駄作」よりも根本的な部分に問題があるような響きがある。
用法と注意事項
「地雷を踏む」という表現は、「外れを引く」「致命的な災厄に遭う」といった意で、CardWirthに限らず、ネット上のスラングとして広く使われる。
CardWirthは、すぐれたエディタのためにユーザーが簡単に「シナリオ」を作成でき、またギルドという公開の場も確保されていた。このことは、CardWirth「初期」(草創期〜1.20時代前半)における隆盛をもたらす一要素ともなった。
しかし、初期のギルドに投稿されたシナリオの中には、たとえば、一度通しプレイすればすぐにわかるようなミス・不具合を放置していたり、「プレイヤー」の存在を閑却しているような、まず制作姿勢そのものが疑われる作品も多くあったと言われている。「地雷」という表現は、いわばこうした「シナリオ」に業を煮やしたプレイヤーの叫びとして生まれてきたものである。
強い否定的価値判断を持つ言葉であることは言うまでもなく、他人の制作物を名指して「地雷」と呼ぶことは、一般的には避けたほうがよい。単に「自分の趣味に合わない」「自分が楽しめなかった」だけの作品に「地雷」のレッテル貼りを多用すると、発話者の感性も疑われることになる。
傾向と対策
以下のような特徴を併せ持つシナリオは、シナリオの制作態度や制作意図を疑われ、「地雷」呼ばわりされる可能性が高い。公開後に批判を受けることを避けるためには、「外部テストプレイ」をかけることによって自分以外の目によるチェックを受けることが望ましい。
通しプレイ・デバグの欠如
プレイ中に進行が止まったり、セリフやカード表示がおかしかったりすることがある。これは、内部のフラグ・ステップ処理などにミスがあるためである。
しかし、ことさらに奇をてらったわけでもない「普通」のプレイでこのような症状が見られるのは、問題である。制作者自身が自分のシナリオの「通しプレイ」さえしていない、いわば無責任な姿勢を露呈しているためである。
バランス崩壊
- あまりに強力なスキルやアイテムを登場させる
- あまりに強力な敵を登場させる
- PCが対象消去される
素材の無断利用
著作権認識の甘さも非難を受ける。「著作権法の理解」があればこれに越したことは無いが、CardWirthにおける「著作権」は、端的に言えば「素材の出所を明らかにする」ということである。
絵を描ける人は背景絵やカード絵を、音楽を作れる人はBGMを、エディタに取り組み物語を作れる人はシナリオを作って発表する。CardWirthは、有志による互助によって発展してきたといえる。ある部分は、「創作者どうしの仁義」に属することであると言える。
プレイヤー置き去りの内容
シナリオ内容に関してはプレイヤーごとに趣味や許容範囲の差があるが、以下のような特徴を複数併せ持つ場合、プレイヤーの存在を閑却するものとして「地雷」呼ばわりされるリスクが高くなる。
- 理不尽な展開(→狂い系シナリオ、親父シナリオ)
- 戦う必然性もないのに強力な敵と戦わされる
- 戦う必然性もないのに強力な敵と戦わされる
- 過度のNPC主導(偏愛)/PC軽視
- PC(プレイヤー)抜きでストーリーが展開する
- 戦闘などで、PCの行動が容易に無効化される
- PC(プレイヤー)抜きでストーリーが展開する
自称としての「地雷」
「駄作者」と類似の謙遜表現として「地雷作者」がある。
平均的な「中世ファンタジー」の世界や「お約束」を意図的に逸脱したシナリオや、上掲の「多くのプレイヤーに嫌われやすいこと」にあえて触れるような内容のシナリオを「地雷」と自称することがある(俗に「人工地雷」。対義語は「天然地雷」)。
「地雷」を自認する方向性は、「小さくまとまったウェルメイドな作品」よりは、「アクの強い個性的な作品」を目指すものであると言える。シナリオ作者の技量にもよるが、これら自称「地雷」の中には、内容がエキセントリックではあれ、高い水準で制作されたシナリオもある。
- Prpject HEVO
- overDoze氏『overDoze地雷原』