旧文明(きゅうぶんめい)は、西方世界にかつて繁栄した高度な文明。初出はgroupAsk(齋藤氏)『奇塊』(1998年8月29日)。しばしば同様の意味でも用いられる言葉に「古代文明」がある。
シナリオ中に、われわれの現代同様の(あるいは現代より進んだSF的な)高度な機械文明・科学文明として登場することがある。何らかの理由(核戦争、環境破壊等が示唆される)で「旧文明」が滅びたあと、人類が歩みなおした結果としてCardWirth世界の「現在」があるという解釈も行われている。この解釈は、現代の銃や機械・ロボット・コンピュータ、その他SF的な装置のある遺跡を「旧文明の遺産」として登場させることに役立っている。
また、われわれの現代と異なる技術・知識体系、たとえば高度な魔法や錬金術をベースにした文明と設定されることもある。
設定と解釈
groupAsk(齋藤氏)による設定
groupAskシナリオでは、齋藤氏の作品『奇塊』『賢者の選択』『旧き沼の大蛇』および『モンスター図鑑』に「旧文明」という用語が登場する。これらが同一のものと仮定する。
『奇塊』には、「リューンは旧文明の都市の遺跡を利用して建設された都市なんだ」とのセリフがある。
「あの下水道は旧文明の施設をそのまま使用しているんだ。その奥深くでは未だに旧文明の装置が働いていると言われている…」
「旧文明」の遺跡に関連して「魔法装置」という言葉もあり、「魔術師学連の宝物庫」と表現されるほど呪文書や魔術アイテムが“発掘”できることから、「旧文明」は魔法ベースの文明であったことが推定できる。ただし「鋼鉄の箱」から、現代文明と類似の機械技術に基づく文明を築いていたとも解釈できる。
同シナリオには「歪んだ魔法科学が生み出した最悪の生物兵器」ビホルダーが登場する。その解説には「古代王国期の遺跡に希に出没する」と書かれているが、「古代王国期」が、「旧文明」とどのような関係にあたるのかは不明である(同一のものなのか、「旧文明」の一時期なのか、「旧文明」滅亡後「現在」までの間に存在したのか)。すくなくとも「歪んだ魔法科学」が繁栄した時代が過去にあったことが確認できる。
『賢者の選択』に登場するカナンは、旧文明期初頭に栄えたソドムの最後の王であり、強力な魔法使いであった。ソドムの滅亡は約1000年前のこととされる。『旧き沼の大蛇』では、六角沼の魚人族の遺跡を「旧文明の遺跡」かと考えている描写がある。『賢者の選択』の棺に書かれた文字についての描写、『旧き沼の大蛇』の石版の文字についての描写から、「現在」と異なる「旧文明の文字」を持っていたことがわかる。「旧文明」がいつ滅びたのか、滅亡までにどのような歴史をたどりどのような世界を築いていたのかは記されていない。
リソース集『モンスター図鑑』に収録されたモンスターのうち、「旧文明」に関連するものは「機甲の蜂」「機甲の兵士」「ビホルダー」である。
「鋼の蜂の姿をした魔法生物。旧文明期に特殊施設の警備用に大量生産された偵察用ゴーレムである。生成コストが小さく、旧文明期には多くの施設で用いられた。個々の単体は知能を持たず、中枢のマザーによりコントロールされる。一部の古代遺跡に出現する」(機甲の蜂)
「武装した鋼の骸骨とも呼ぶべき外見の魔法生物。旧文明期に大量生産された人型戦闘用ゴーレムである。ごく稀に活動中のものが古代遺跡などに出現する。単純な命令を実行する程度の知力を持つ」(機甲の兵士)
とあり、ロボットを想起させる。
groupAskによる類似の設定
倉貫氏『遺跡に咲く花』では「古代文明期」の有名な魔道師が「フィロンラの花」を生み出したと言われる。作中の植物学では、フィロンラと同様「自然系統の花では無い」種を分類する「ガジャル科」があることから、魔法を用いた品種改良(遺伝子操作?)が行われていたと推測される。フィロンラの咲く遺跡はSF的である。
赤塚氏『機械仕掛けの番犬』のファラン氏は、「古代文明の研究をしている魔導師」である。