クロスオーバー(crossover)は、舞台設定やシステムを(作り手の異なる)複数のシナリオで共有しようとする試みを指す。
たとえば、あるシナリオの中で別のシナリオの話題が取り上げられたり、どこかで見たNPCと出会ったりする。「公式設定」が存在しないCardWirthにあって、世界の広がりを感じさせる魅力の一つであるとも言える。Ask設定の引用も、ある意味で巨大なクロスオーバーと言える。一方で、クロスオーバーを強調しすぎた場合、クロス元のシナリオを知らないと「作者が内輪で盛り上がっている」という印象も持たれかねない。
自然発生的なクロスオーバーと、企画として立てられるクロスオーバーがある。
自然発生的なクロスオーバー
ある「元ネタ」に対する興味やファン意識からおこなわれる、二次作者主導のクロスオーバーである。
世界設定等のクロスオーバー
他のシナリオの設定・雰囲気を借りる試み。本家本元であるgroupAskシナリオがリスペクトされることは多い。
たとえばシナリオ中で読める本の中に、他作品の地名を潜ませたりする。
アイテムのクロスオーバー
他シナリオで入手できるアイテム等の所持いかんによって変化する分岐を持つ。
クーポンのクロスオーバー
他のシナリオで獲得した「称号」によって変化する分岐を持つ。
たとえば、石水氏『紫紺に染まる真紅都市』は、称号によるクロスオーバーの多いことで知られる。
各シナリオごとの独立性の強いCardWirthにおいて、世界の広がりを感じさせる工夫の一つである。
キャラクターのクロスオーバー
他のシナリオに現れた魅力的なNPCを自分のシナリオに登場させようとする試み。最も多く「クロスオーバー」されたNPCは「宿の亭主」「宿の娘」と言えるかもしれず、ユーザーシナリオ間相互の影響の及ぼしあいにより、シナリオによっては「ツケ」「腹黒」などさまざまな設定が付けられている。これに次いで影響力を持ったキャラクターとしては「アニキ」がいる。
クロスオーバー企画
ある世界設定や、標準のCardWirthとは少し異なる「規格」を提唱し、それを複数の作者で共有しようとする試み。自然発生的なものと異なり、最初から一定の広がりを想定している。
世界設定等のクロスオーバー
複数のシナリオで共有するために作られた世界設定や規格。
「世界観の統一」などの試みは過去に幾度か行われているが、個々のシナリオの独立性の強いCardWirthの特性として、必ずしも成功していない。既存のシナリオの設定に譲歩を迫ったり、シナリオ作者各自の持つ「世界観」に干渉する行為が、概して喜ばれないためである。
- DOLL設定(Studio Rainbow Snail、2002年頃)
地理的な情報を集め、一枚の地図上に収めようとする試みもある。
- 羊候氏《羊の群れたち》内 ◇カードワースマップ
- ちゃおぶん氏◇《Card Wirth Geography》
アイテムや小ネタのクロスオーバー
クーポンのクロスオーバー
対応されることを前提につくられた規格。
→◇クーポン配布シナリオ参照