拾穂文庫第一分室CardWirth史年表用語集【と】

DOLL

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DOLL(ドール)は、Studio Rainbow Snail (SRS) によって制作されたCardWirthの追加世界設定(サプリメント)。SRSが活動を停止したため決定稿とはなっていないが、書類の谷氏がまとめた「仮DOLL資料」が「CardWirth ScenarioWriter's Community(しなさくコム)」で公開されている。

CardWirthの公式設定ではなく、クロスオーバー企画のための共有設定というべき地位にある。現状において広範囲で共有されている設定というわけでもない。

みずからもDOLL設定を利用したシナリオを制作しているクエスト氏が、DOLL資料活用のための基盤整備をおこなっており、wikiによる辞書〈DOLL'S WIKI〉を運営している。ただし〈DOLL'S WIKI〉にはDOLLとは別系統の設定も含まれており、DOLLを中心にCardWirthの世界を緩やかに繋げていく方向を示している。

→ CardWirth ScenarioWriter's Community
→ クエスト氏《P.b.Q》〈DOLL'S WIKI〉

名称

"DOLL"は"Doom of the Lord Lionhearted"の略と説明されている。Lord Lionhearted(獅子王)は設定中の用語。"doom"は英語で「(悪い)運命、宿命」「悲運、破滅、死」を意味し、キリスト教においては「世の終わり、最後の審判」を指すことがある。

内容

DOLL設定はユーザー間の「共通設定」として、世界の創造にはじまる歴史、地理や国家や宗教などの設定、魔法や召喚術などの原理に関連する世界法則が設定されており、たとえば竜の存在や、旧文明などに解釈が与えられている。「現在」は聖北教会の成立から約500年後とされており、リューンは「アルスター帝国」の一部を構成する「トラキア王国」にある自治権を持つ都市と設定されている。

これら大きな「世界設定」だけでなく、都市部の物価表や賃金表・生活費表、冒険者の持ち歩くもの、嗜好品、舞台となるアルスター帝国における法制度や刑罰など、日常生活の様子までが詳細に設定されている。

成立の経緯

DOLL設定は、2002〜03年にかけて活動したSRSによって制作されていた。設定の構築を主導したFuckin"S"2002氏如月真問氏のシナリオに加え、gropAskMNS氏あきらつかさ氏ブイヨンスウプ氏マット氏の作品を参考作品とし、これらの作品の設定を接合するように設計されされている。また、ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)などの既存のロールプレイングゲームも参照されている。

現在の「仮DOLL資料」は、残された設定資料に書類の谷氏が加筆を行い2005年7月頃にまとめたもので、2005年8月16日に「CardWirth ScenarioWriter's Community」で公開された。

DOLLは、すべてのユーザーが従うべきCardWirthの「公式」設定というものでなく、クロスオーバー企画の一種と見ることができる。「仮DOLL資料」では以下の文言が記されている。

「"Studio Rainbow Snail"は、DOLL以外の各種世界設定を否定するつもりは全くありません。また、興味の無いデザイナーにそれを強要するつもりもありません。むしろ、そういったジェネラルな世界設定のシナリオが存在するからこそ、DOLLのような異端の世界観が存在できるとも思っています」

多くを語ることのない Ask設定を補足したり、作者ごとに異なる世界に一つの解釈を与えたりしようとする企画は、これまでも個人単位・小集団単位で行われてきた。DOLLはそうした試みの中では最大規模の試みであったとは言える。

DOLLへの準拠が義務として課されるものであってはならないが、関心を持った作者が適宜参照することで、より深い背景や他作品とのつながりを持ったストーリーの制作に資することができるだろう。また、今後設定を共有するシナリオが制作されることで、DOLL設定は拡張されていくものと考えられる。

関連シナリオ

関連項目

設定上の関連用語

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